เข้าสู่ระบบ教授がやってきて講義が始まる。
俺の前にエドアルドが座っているからどうしても視界に入って、なんだか落ち着かなかった。 王太子ならエドアルドのことをなんか知ってるかな。 ルカの知識の中に、エドアルドの事は何もない。だから今まで接点何にもないんだろうな。 毒公爵だろ? なんでマリアと接点もつんだろうか。 俺はエドアルドの頭を見つめ、頬杖をついて首を傾げた。 講義が終わり、俺は教科書などをバッグにしまう。 なんか前が気になってあんまり集中できなかったなぁ…… そう思いながら立ち上がると、エドアルドが声をかけてきた。 「ルカ」 名前を呼ばれて、ビクッとしつつ俺は彼の方を見る。 紫色の瞳は彼にミステリアスな雰囲気を纏わせる。 「な、何」 「講義、被ってるものが多いな」 「あ、あぁ。そうだな」 言われてみれば、エドアルドの姿を見ることが多い気がする。 ってことは次も一緒とか……? 次は魔術理論だ。ふつうなら一年目で履修するような講義だし、ちげえよな。 「次の講義何うけるんだ?」 エドアルドに聞かれ、俺は答えた。 「魔術理論だけど」 「あれ、お前、何歳なんだ?」 怪訝な顔をして、エドアルドは言った。なんか変に思うところあるのか? 「俺は今年で二十歳だよ。お前は?」 「今年で二十一だ」 あれ、俺より年上かよ? 「なんだ、同い年だと思ってた」 「一年休学したからな。だけど魔術理論は履修済みだ」 学年的には二年生、って感じなのかな。俺は一年扱いだから……そりゃ、全部被るはないか。 エドアルドは何かを考えるように下を俯いた後、顔を上げて言った。 「猫だけど」 そして彼は、バッグをショルダーバッグを肩にかける。 「猫って昨日の」 「連れて帰ったら、侍女や侍従が喜んで。それで俺がいない間は皆が見てくれると言ってくれて」 そして彼は恥ずかしげに俺から目をそらす。 こいつ、人に面倒見させるのはって心配していたんだっけ。 「よかったじゃないか」 絶対猫好きな侍女や侍従がいるよな。だって猫だし。 するとエドアルドは、なんか嬉しそうな、でも恥ずかしさを隠しきれないような顔になる。 「……あぁ……そうだな、お前が言ってくれなかったらあの猫を連れて帰る決意がつかなかった」 と言い、はにかむように笑った。 「あの猫にとって何が幸せかなんてわかんないけど、関わったんだし、最後まで責任負うしかなかったんじゃないの?」 そう俺が言うと、彼は目を見開いて俺を見た後すぐに顔を伏せ、そうだな、と呟いた。 そして、エドアルドはなんか不安げな顔で俺を見て、こちらの様子を伺う様に言った。 「なあ……あの、昼休みは食堂に行くのか?」 「あぁ、そうだけど」 そう答えると、エドアルドは口を閉ざし俺から視線をそらしてしまう。 なんだこいつ。 不思議に思いながら俺は次の講義があるから、 「じゃあ、俺は行くから」 と、声をかけ歩き出そうとした。 するとエドアルドの声がかかる。 「昼食、一緒に食べないか?」 緊張した様な声が聞こえ、俺は振り返りエドアルドを見る。 なんで昼飯一緒に食べようって誘うだけでこんなに険しい顔してんだ、こいつ。 そうは思ったものの、断る理由は思いつかず、そもそもこいつがどうやって攻略対象になるのか気になるので俺はその申し出を受け入れることにした。 「別にいいけど」 俺の答えに彼はほっとしたような顔をする。 「ならよかった。じゃあ、二限終わったら食堂入り口で」 「あぁ、わかった」 そして俺は、エドアルドに手を振り、講義室を後にして廊下へと出た。 二限目の魔術理論は興味深かった。 魔術は誰でも使うことができるけれど、その力の強さには個人差があるらしい。 岩をも砕く力を持つ者から、ちょっと物を動かすしかできない者まですごい差があるとか。 そして修行によってその力は強くできるそうだ。 楽しかったお蔭で九十分の講義はあっという間だった。 終わりの鐘が鳴り響く、俺は腕を上にあげて大きく伸びをする。 講義が終わっても俺に話しかけてくる奴は誰もいない。 俺はバッグに教科書やノートをしまい、席から立ち上がって講義室を後にして廊下に出る。 学生たちはおしゃべりをしながら皆、同じ方角へと向かっていく。俺も人の波に乗り食堂へと向かった。 スマホがないって不便だよなぁ…… そう思いつつ、俺は視線を巡らせてエドアルドの姿を探す。 学生たちはどんどん食堂の中に吸い込まれていく。ここの食堂は和食に洋食などを取りそろえていて、メニューが豊富だ。 どうやって作ってるんだ、とか突っ込みたくなる料理があるものの、ゲームの世界だしそこまで深く考えちゃいけないんだろうな。 食堂の入り口から外れた壁際に、きょろきょろと落ち着かない様子のエドアルドの姿を見つけた。 視線が絡み、彼はほっとした様な顔になる。 なんであんな顔するんだろう。 もしかして俺が来るのか不安だったのかな。 不思議に思いつつ俺は人の波から離れてエドアルドの方へと向かった。教授がやってきて講義が始まる。 俺の前にエドアルドが座っているからどうしても視界に入って、なんだか落ち着かなかった。 王太子ならエドアルドのことをなんか知ってるかな。 ルカの知識の中に、エドアルドの事は何もない。だから今まで接点何にもないんだろうな。 毒公爵だろ? なんでマリアと接点もつんだろうか。 俺はエドアルドの頭を見つめ、頬杖をついて首を傾げた。 講義が終わり、俺は教科書などをバッグにしまう。 なんか前が気になってあんまり集中できなかったなぁ…… そう思いながら立ち上がると、エドアルドが声をかけてきた。「ルカ」 名前を呼ばれて、ビクッとしつつ俺は彼の方を見る。 紫色の瞳は彼にミステリアスな雰囲気を纏わせる。 「な、何」「講義、被ってるものが多いな」「あ、あぁ。そうだな」 言われてみれば、エドアルドの姿を見ることが多い気がする。 ってことは次も一緒とか……? 次は魔術理論だ。ふつうなら一年目で履修するような講義だし、ちげえよな。「次の講義何うけるんだ?」 エドアルドに聞かれ、俺は答えた。「魔術理論だけど」「あれ、お前、何歳なんだ?」 怪訝な顔をして、エドアルドは言った。なんか変に思うところあるのか?「俺は今年で二十歳だよ。お前は?」「今年で二十一だ」 あれ、俺より年上かよ?「なんだ、同い年だと思ってた」「一年休学したからな。だけど魔術理論は履修済みだ」 学年的には二年生、って感じなのかな。俺は一年扱いだから……そりゃ、全部被るはないか。 エドアルドは何かを考えるように下を俯いた後、顔を上げて言った。「猫だけど」 そして彼は、バッグをショルダーバッグを肩にかける。「猫って昨日の」「連れて帰ったら、侍女や侍従が喜んで。それで俺がいない間は皆が見てくれると言ってくれて」 そして彼は恥ずかしげに俺から目をそらす。 こいつ、人に面倒見させるのはって心配していたんだっけ。「よかったじゃないか」 絶対猫好きな侍女や侍従がいるよな。だって猫だし。 するとエドアルドは、なんか嬉しそうな、でも恥ずかしさを隠しきれないような顔になる。「……あぁ……そうだな、お前が言ってくれなかったらあの猫を連れて帰る決意がつかなかった」 と言い、はにかむように笑った。「あの猫にとって何が幸せかなんてわかんないけど、
翌日。 今、アラミラ王国はいわゆる夏にあたるらしくあと三週間もすると夏休みになるそうだ。 その前に前期の試験がある。 ってことは、試験に向けた課題とか出されるんだよな……そう思うと気が重い。 ここゲームの中なんだろ? なんでゲームでも課題に苦しむことになるんだよ。 俺は今日も妹のマリアと一緒に車で登校する。 マリアは制服があり、セーラー服みたいな服を着ているけど、大学生である俺には制服がない。とはいえ服装を考えるのが面倒だから、俺は黒のスラックスに白の半そでシャツ、ベストを着て大学に行っていた。 「……それでね、最近殿下とお話しする機会が増えたの」 学校に向かう車内でマリアがそう言いだした。 殿下っていうのは俺たちの従兄弟で王太子であるマルセル殿下だ。 今年で十八歳になる高校三年生。長めの金髪に青い瞳の優しげな青年だ。 突然現れた従兄弟である俺たちを、暖かく受け入れてくれている。 俺は週に一度、一緒に食事をとる時しか会わないけど、マリアは学校で顔を合わせるんだろう。 「あれ、学校じゃあ殿下って呼ぶの禁止されてるんじゃなかったっけ」 「そうそう。学校では身分は関係ないから、みんな『さん』付けで呼んでるんだけど……マルセルさん、って呼ぶの、さすがに恐れ多くて」 そう言って、マリアは苦笑する。 それはそうだよな。 俺たちがここに引き取られたのは三月。 その前まで王家なんてスゲー遠い存在で、話題に出るとしても様付が当たり前だったもんな。 国王の弟が失踪した話は聞いたことあったけど、まさかそれが父親だとは思わなかった。 「不安だったけど、学校の生徒の大半は私と同じ平民出身だし、友達もできてよかった」 言いながらマリアは笑う。 よかった。 超田舎の庶民でだから、マリアがちゃんと受け入れられるかって心配だったんだ。 「お兄ちゃんはどうなの、大学」 「うえ?」 妹の、大きな緑色の瞳がじっと、俺を見つめる。 「お友達できた?」 できてません。 むしろ浮きまくってます。 そんな事言えず、俺は目を泳がせて呻る。 そこから察したのだろう。マリアは心配そうな顔をして言った。 「大丈夫、苛められてない?」 「そんなことあるわけないだろ」 平民育ちとはいえ、国王の甥にあた
朝食を食べた後、俺たちは学校へと向かう。 マリアが通う高校と俺が通う大学は同じ敷地内にあるため、毎日一緒に登校している。 車で送られ、俺たちは学校に着く。 シエル学院。王族や貴族に最高の教育を、という目的で作られた学校だが、生徒の大半は平民だ。 貴族は年々減少していて、貴族だけを相手にしていたら儲からないから平民も受け入れているらしい。 田舎にいた時、マリアは学校に通っていたけど俺は働いていた。でも王族だから、という理由でこの学校に半ば強制的に放り込まれた。 大学は単位制で、学年はあんまり意味がないらしい。 希望する教室に属し、取りたい授業を好きにとる。 学校で俺はおもいきり浮いていた。 だってずっと行方知れずだった王族の息子で、田舎出身なんて超浮く要素しかねえじゃん? 国王の甥で王子とは従兄弟になるってわけだが、すげー遠巻きにされている。 妹は妹でうまくやっているらしいけど、っていうかそもそもこの物語の主人公だもんな、マリアは。 たぶん攻略対象とされる王子とか騎士見習いとか貴族の子供とかいて、そいつらと仲良くやってんだろうなぁ…… 俺はぼっちなのに。 広い講義室に入り、俺は真ん中あたりの席に座り教科書を出す。 知らない文字で書かれているはずなのに、ちゃんと読めるの不思議だな…… どうやら歴史の講義らしく、教科書には神話の話やら戦争の話が載っている。 俺は転生したのか……? それとも転移? いいや、転移なら姿まで変わらないよな。 じゃあなんだろう……憑依、かな。 俺の意識が、ルカに乗り移ったんかな。 でもなんでだよ? 全然心当たりがない。 昨日、俺はバイトの後自分の部屋に帰って寝たはずなのに…… んで、なんか夜中に揺れたような……? うーん、思い出せない。 悩む俺をよそに、室内はざわめきで包まれている。 聞こえてくるのは色んな噂話。 どの貴族が不倫しているだの、どこの誰が可愛いだの誰と誰が付き合ってるとかそんな話ばかりが聞こえてくる。 他に話題ないのかよ?「カルファーニャ様だ」 誰かが呟く声がして、俺は顔を上げて振り返った。 入り口にいたのは輝く白っぽい金髪に、紫色の瞳の青年。 毒公爵の異名を持つカルファーニャ公爵家の次男、エドアルド=カルファーニャだ。 確か、病気か何かで一年くらい休学していた
嗅いだことのない匂いを感じ、ゆっくりと意識が浮上する。 目を開くと見たことのない天井が目に入った。 あれ、うちの天井じゃない。 俺が住んでいるのは一DKのアパートだぞ。 こんな茶色の天井なんかじゃないし、こんなに高くもない。 俺は身体を起こして辺りを見回し、事態を把握しようとする。 なんだここ。スゲー広い。俺の部屋の四倍はありそうだ。 広いベッドにクローゼット、大きなソファーにテーブルに……って、明らかに俺の部屋じゃない。 俺は春野京佑。日本人で、大学二年生だ。 実家を出てアパートでひとり暮らし。 だけどここは絶対アパートじゃない。どこかのホテルのスイートルームみたいだ。 俺はベッドから起き上がり、ふらふらと窓に歩み寄る。 カーテンを開いて外を見ると、広い中庭が目に入った。 そして、高い城壁…… どういうことだよ、ここ、もしかして日本じゃない? もちろん俺の部屋でもない。 鏡、鏡ねえか? きょろきょろと辺りを見回して俺は、鏡台を見つけそこに走り寄った。「……!」 そこに映っていたのは、緑がかった金髪に緑色の瞳をした知らない男だった。 誰これ。 そう思いながら俺は顔に触れて頬を引っ張る。 痛い。ってことは夢じゃない? どういうことだよ。 戸惑っていると、扉を叩く音がした。 はっとして振り返ると、勝手に唇が動いた。「どうぞ」「失礼いたします」 聞き覚えのない男の声に続いて、扉が開く。 入って来たのは黒いスーツ姿の若い青年だった。 って誰? そう思うのに勝手に口が動く。「レオ」 彼はレオ。俺の侍従だ。 俺はルカ=パルッツィ。国王の弟の子供だってつい最近知った。俺は親の出自なんて何にも知らず、両親が死んだあとに国王の使いが現れて、ここに引き取られたんだ。 ちょっとまて、俺はなんでそんなこと知ってるんだ? ここは……そうだ、アラミラ王国だ。 待て、これ、聞き覚えあるぞ。 妹がやっていたゲームじゃね? なんか誕生日のプレゼントに欲しいって言ってて、親に頼まれて買いに行ったんだ。 その時、どんなゲームか調べたからなんか覚えてるぞ。 確か親がアルミラ王国国王の弟であると知って王宮に引き取られたヒロインが、王族や貴族、騎士と恋愛する話だったと思う。 なんでろくに知りもしないゲー